あなたの突起は私の穴をふさぎ、私の突起はあなたの手に押し潰される。 くぼみというくぼみに、ふくらみというふくらみに硬い手が触れる。 その手はぎこちなく、それでも私の凹凸をすべて消し去ろうとするように懸命に撫で回る。 そんなあなたの不器用な愛撫は私に、快楽より先に自分の身体が球体になっていくイメージを与える。 穴も突起もくぼみもふくらみも無い球体。 それは、対の影を引き連れ地面を走り私の構えるミットに収まるボールのイメージ。 快楽が肉体を支配するまでの時間、私はいっそボールになりたいといつも思う。 自我は無く回転とスピードを与えられ放たれても、また誰かの手からあなたの掌に戻ってくる 少し汚れた白い硬球に。 あなたとの夢はいったん終わり、 あなたと私のためにあなたと同じ道を歩んできた私が これからは私のためだけにあなたと違う道を行く。 私だけの夢のために。 私が 私がもし、自我の無いボールだったなら これからもあなたの掌に収まり続けることができただろうに・・・ *** 背景写真はコチラからお借りしました。 辰羅川は、いつでも犬飼のために一番よい道を選ぶと思います。自分から道を分かつことも含めて。